2016年2月28日日曜日

セミナーで感じたこと、システマとビジネス

2月27日のシステマ湘南、終了しました。
2月の19日から22日まで東京で行われたセミナーの復習が中心でした。
今回も参加者は10名を超えました。
参加してくださった方、ありがとうございました。

さて、今回、東京で行われた
ザイコフスキー師のセミナーですが、
その内容はというと――。

誤解を恐れずにザックリと言ってしまうと、
まず一つは「インディペンド(独立した状態)」に動け、ということです。
これは昨年もテーマになりましたが「非対称の動き」と意味は一緒です。
……なんだかよく分からないですよね。

でも、逆を考えてみれば分かります。
独立していない動き、対照的な動きとは何かというと、
相手の出方や攻撃(表面的に見えること)に応じてしまうことです。
相手の出方や攻撃に関係なく(つまり「対照的」ではなく「独立」した状態で)
こちらが動き続けることが大切だというのです。

そして、二つ目に「攻撃してくる相手」の「攻撃」を捉えるのではなく、
(そうすると、相手にディペンドした、つまり依存した状態になってしまうので)
「相手」そのものを捉える(感じる)ことが重要だと言うのです。
これも、この数年言っていることは一緒で「力の源を捉えろ」ということです。
時には「動きの源」「変化のおこり」とも言い換えられます。

これは例え話として、タンク(戦車)の話を出していました。
「戦車がこちらに向かって攻撃してくるのに、戦車に立ち向かっても意味がない。
私たちは、戦車を操縦する人をどうにしかなければいけない」と。

上記、二つの行う際に、もっとも問題となる(つまり敵となる)のが「自分の考え」で、
昨年は「頭の中をピックニックに行かせてください」と言っていましたが、
今年は「クリーンにしてください」で、いずれにしても「何も考えるな」です。

まとめると、相手が攻撃してきても、
「何も考えずに」
「相手が何してこうようと気にせずに」
「『相手そのもの』を感じていく(捉えていく)」というトレーニングを
20日~21日のメインの2日間はやりました。
相手は自分の攻撃ではなく、自分自身が捉えられてしまうので、
自滅していくというのです。
非常にセンシビリティが要求されるワークでした。

これをお読みになった方はセミナーが「集団催眠」みたく思えるかもしれません。
しかし、実際に、ザイコフスキー師を相手に、こちらが攻撃していくと、
何かこちらの根幹に触れられて、自滅していくんですね。
こうしたワークを長くやっていると、「(相手に)とられた」という感覚が分かります。

武術として考えると、何かインチキくさく聞こえてきてしまうのですが、
似たようなことは、実際のビジネスの世界では起きています。

たとえば「接客の達人」とか 「セールスの達人」と言われるような人たちは、
お客さんが口に出していること(表面的なこと)ではなくて、
その人が何を求めるのかを察知して、応じていきます。
そして、達人と言われる人ほど、
「どうして、今、お客さんの気持ち(求めているもの)が分かったの」と聞かれると、
「なんとなく、そうしたほうがいいと思ったから」という答えが返って来たりします。
考えてやっているわけではないのですね。
そういう能力は、どうも人間には備わっているような気がします。

実際に、ザイコフスキー師はモスクワでビジネスマンとしても成功されていて、
システマの知恵を使っているそうです。
名古屋で日本初の「システマ・ビジネスセミナー」も2月25日に開かれました。
システマ湘南の常連さんのYさんが名古屋まで行って参加してきました。
2月27日は、この時の内容の座学も行ったのですが、
これも丸めて言ってしまえば、システマもビジネスも、
いかに相手の「本質」を捉えるかが肝だということだと思いました。

またザイコフスキー師はこう言います。
「仕事では失敗、成功などの経験を積むのは時間がかかるが、
武術は短い時間の間に、何回も試行錯誤が出来る。
だから、そうした感覚を身に付ける早道となる」

逆に言い換えれば、私達は仕事をしながらでも、その気になれば、
「相手を感じる」というシステマの練習が出来るということです。
学生よりも、社会人のほうが、シビアな世界に生きている分だけ、
よりよい練習が出来ることになります。

というわけで、いろんな意味で面白く、興味深かったセミナーでした。
(できるだけブログは短くしようと思っているのですが、
今回は少し長くなりました。読んでいただき、ありがとうございました。)

2 件のコメント:

  1. わかり易い文章有難うございました。
    元養神館の千田先生が、塩田剛三の内弟子をしていた頃に、すべての事を阿吽でこなすことを求められ、大変成長出来た!と先々週くらいにどこかにコメントしてきたのを思い出しました。

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  2. 小金井さま コメントありがとうございました。「相手そのもの」を捉えるって難しいです。分かり易いと言っていただき、嬉しかったです。

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