2017年2月16日木曜日

システマ湘南、100回目のワークはシステマ式・壁ドン!

先週の土曜日(2017年2月11日)、
システマ湘南の練習がおかげさまで100回目を迎えました。

これもいつも参加してくださっている皆さまのおかげです。
どうもありがとうございます。

2014年1月から隔週で始めて、その後、ほぼ毎週となり、
足かけ4年で100回目を迎えることができました。
練習日が週2回であれば1年、週3回であれば8カ月ほどで達成できるわけですが、
サラリーマンをしながらリードするというのは、週1回でも大変でした。

会社に勤める一方で、週2回も3回も練習日を設けている他グループの
インストラクターの方々は、本当にすごいというか、尊敬してしまいます。

下は練習後に100回記念で集合写真を撮りました。
写真は私をのぞくと14名ですが、この日は15名の方が参加してくださいました。
本当に感謝しております。


ところで、記念すべき100回目のワークはクオン師セミナーの復習第4回目。
いろいろとやったのですが、面白いところでは「システマ式 壁ドン」。
普通、「壁ドン」というと、男子が壁に手をついて、女子を追いつめる格好ですよね。
もちろん、システマではそんなことはしません。

これもクオン師のセミナーの時にやったワークなのですが、
1)パートナー(A)が背中を壁につけて立つ。
2)ワークを行う側(B)は、Aの胸に「ドンッ」とストライクを打つが、
Aの胸ではなく、壁を打つようにして打つ。
3)Bのストライクが上手くいくと、壁が振動する(Aには痛みはない)。

うまくストライクが通ると、自分でも分かるのですが……。
鎌倉武道館の柔道場の壁は、裏側がすぐにコンクリ―トらしく、
上手く振動させるのが、セミナーの時よりも難しかったです。

もう一つ、壁を使ったワークを行ないました。
1)ストライクを打つ側(B)は壁に背をつけて立つ。
2)パートナー(A)がBに向かって歩いてくる。
3)AはBにストライクを打つ。

これはBが背中を壁につけているところがミソで、
ストライクを遅いと、Aに押されて壁に背中が付いてしまいます。
また、ストライクが早すぎると壁から上半身が離れてしまう。
ひねってストライクを打つと、片側の肩が壁に当たってしまう。

正しい間合いで、ただ拳(こぶし)を前に出すだけという
システマのストライクを打ているかどうかが、よくチェックできるワークです。
クオン師のセミナーでやって、いいワークだと思ったのですが、
システマ湘南でも非常に好評でした。

さて、次回2月18日の土曜日がクオン師のセミナーのシェアの最後です。
ナイフワークを行います。
大船体育館で15時からですので、よろしくお願い申し上げます。

2017年2月10日金曜日

「テンションについて」(クオンの言葉4)

システマ仲間から「クオンの言葉」の書き込みについて好評をいただいております。

とにかく、飲み会の席だったので覚えてないこともあるのですが、
もう一つ思い出したので、追加で書くことにしました。

今回のセミナーでは、みなさん、いろいろと印象に残ったことがあると思います。
個人的にはクオンが、ワークの最中によく、
「自分のテンションを見てください」「相手のテンションを感じてください」と
言っていたのが、大変印象に残っています。

システマのワークでよく行なわれる自重を使うマッサージにしても、
何気なく、パートナーと喋りながら行ってしまうものです。
クオンはちゃんと、「相手のテンション」や「自分のテンション」を感じることの
重要性を強調していました。

このマッサージをする時に「痛いですか」と聞いてしまうのですが、
聞くのではなくて、相手の様子や呼吸を見ながら、
判断していくことが大事だというわけです。

システマでは、よく「相手のテンションにストライクを打つ」とか、
「相手のテンションにアプローチして崩す」と言ったことが言われるのですが、
これがなかなか分かりにくいものです。

飲み会でクオンはこんなことを行っていたのですね。

「自分はまだまだブラッドのようにはテンションは抜けない。
でも、いつも自分の体のどこにテンションがあるのか、
常にテンションを抜くように意識していました。
そうすると、自分のテンションは完全に抜けないまでも、
徐々に相手のテンションが分かるようになってきました」

今回のセミナーのテーマのひとつが、
「フィジカルとインターナルとの橋渡し」でした。
それに特化したワークは行われたわけではなかったのですが、
このクオンの言葉に、「橋渡し」の一つのヒントがあるような気がしています。


「デモで何を参考にしているのか」(クオンの言葉3)

これまで2回のクオンの言葉は、私がインタビューで聞いたもので、
日本人のシステマ修行者に伝えたいこという質問の答えでした。

実は、このインタビューはクオン師の時間の都合で、
懇親会の席で行われたものでした。
なかなか騒がしてくて大変だったのですが、
他の参加者がこんな質問をしました。

(他の人が聞いていたので、自分はメモを取っていません。
前回2回分はメモありですが、以下は記憶です)

「クオンはブラッドのセミナーによく参加していますが、
ブラッドのセミナーのどんなところが参考になりますか」

それに対するクオンの答えは、
「ブラッドのセミナーで行われるドリルそのものは、
私にとって新しいものがあるわけではありませんから、
そんなに参考にはなりません。
私が一番参考にしているのは、ブラッドのデモです」

こう聞くと、私のような者は、
やっぱりデモの動きを参考にしているのかと
思ってしまうわけですが、

「デモで参考にしているのは、ブラッドの動きではありません。
ブラッドがどんな動きをしているかではなく、
私が参考にしているのは、ブラッドの視線なのです。
ブラッドがデモの中で、何を見ているかなのです」

「そして、私が生徒たちの前でデモをする時には、
できるだけブラッドの視線で行うようにします。
ブラッドが見ていたものを、私も見ようとして、
デモをするのです。
ですから、ブラッドのデモが一番参考になります」

これって会社の中でも同じですよね。
上司から言われた個々の内容ではなくて、
上司が何を見ているのか意識するほうがよほど重要です。

そういうことって、よくビジネスの世界では
言われるのですが、デモに関しては思っていませんでした。
ミカエルやブラッドが何を見ているのか、
それを意識してデモを見ることは難しいかもしれませんが、
確かに、それを意識することは、細かい動きに注目することよりも、
大事なことかもしれませんね。

2017年2月9日木曜日

インストクラターへの苦言(クオン師の言葉2)

クオン師のインタビューでは、日本人の熱心さを褒める一方で、
一方向性だけに行ってしまいがちな日本人に対しての
苦言も含まれていました。

「ミカエルを理解するために、いろいろなシステマを見てほしい」と。

引き続いて、こんなことを言っていました。

「システマの動きは、完璧で動きとしては理想形です。
完璧性があるから、動きの中では常に継続性があって、とどこおりがありません。
しかし、システマの動きは完璧であっても、人間は完璧になれません。
ですから、システマを学ぼうとして、大きなサークルの中の一部を取り出して、
それをトリガー(きっかけ)にして理解していこうとする人が多いです。
ところが、小さな部品を取り出して学んでも、その部品を一つにまとめたものが、
完璧なものになるかというと、そうではありません。
全体を網羅する学び方をしないと、大事なことは分かりません」

「インストラクターは何かを生徒に教え、何かの情報を生徒に伝えます。
しかし、マスター(たぶんブラッドのことだと思う)が言うには、
往々にしてインストクラターは自分の弱さを生徒に伝えてしまう。
現状では、そうしたインストラクターが多いのです」

ここでクオン師の言う「弱さ」という表現が分かりにくいのですが、
この弱さとは何かと聞いたら、精神的なもの、肉体的なものも含むそうです。
たとえば、自分の好きなワークだけを教えてしまう。
たぶん、そうしたことも弱さだと言っているのだと思います。
「弱さ」を教えてしまうという指摘は非常に考えさせられました。

「自分では気づいていない弱さまで生徒に教えてしまうことも多いのです」
では、どうしたらいいのか。

「(全体を網羅するためにも、弱さを伝えないためにも)
システマのソース(源流)に触れる必要があります。
定期的にマスターであるミカエルやブラッドの元に行く必要があるのです」

これも以前、大阪のインストラクターの大西さんから、
「インストラクターにやるんやったら、毎年、ミカエルかブラッド、
どちらかに直接会いに行かなければならない。
今、マスターが何をしているのか、直接見てこない人間に、
インストラクターをやる資格はないだろう」
と言われたことがあって、その発言を思い出しました。

「みんなイノベーションが足りない」(クオン師の言葉1)

1月に行われたクオン・リー師のセミナーのレポートを
『月刊秘伝』誌に依頼されてまとめているところです。
だいたい書き上げたのですが、クオン師にインタビューして、
雑誌には引用できなかった箇所を紹介したいと思いました。

クオン師は世界各地からセミナーの依頼があるのですが、
その理由は「他のインストラクターとは違った解釈があるからではないか」と言います。
「それはどういう点ですか」と聞いたら、自分では参加者たちが自分の解釈のどこに、
魅力を感じているのかは分からないけれどと前置きしたうえで、

「世界中には今、インストラクターやIit合わせて700人いるらしいです。
私は2000年からブラッドのところに行って、システマを学んでいますが、
すぐに教える立場となりました。
しかし、ブラッドと同じことが出来るわけもありません。
早急に自分の教えるスタイルを作る必要に迫られました。
自分でイノベーション(「技術革新」という意味だが「創意工夫」という感じだと思う)しなければならなかったのです。
ブラッドのやっていることを自分の中に落とし込むためには、
システマを学ぶ一人の生徒として自分の中でのイノベーションが必要でした。
多くのインストラクターがいますが、イノベーションをしている人は少ない。
イノベーションが足りないと感じています」

つまり、クオン師は自分は常にイノベーションを行っている。
それが魅力となって、多くの海外から招聘されるのだろうと答えてくれていました。
「イノベーション」という言葉を使うあたりがボーイング社のエンジニアらしいです。

システマ大阪のインストラクターの大西さんも、
他の日本人インストクラターによく言っているのですが、
「みんな、創意工夫が足りん」と。

自分にも耳が痛い言葉です。
自分で下手に創意工夫したら、システマの「核」から外れてしまうのではないかと
不安になってしまいます。
だから、セミナーで教わったものを自分なりに理解したうえで、
余計な情報を付け加えることなく、みなさんとシェアしたいと思ってしまうんです。

自分に圧倒的にインストラクターとしての体験が
不足していることもあると思うのですが、
「イノベーション」少しでも心がけてみようかと思います。

2017年2月6日月曜日

第99回終了しました。ヘッドバット(頭突き)の練習しました

2月4日(土)、第99回システマ湘南終了しました。

内容はストライクの受け方と、ヘッドバット(頭突き)でした。
頭突きをシステマで行うのは久し振りでした。
私もクオン師のセミナーでやったのが何年かぶりでした。

写真は左側の二人が横から頭突き、右側の二人は後ろから来た相手への頭突きです。


この日は、久し振りに鎌倉でトレーナーをやっているHさんが参加してくれました。
ブログを見ていてくれているらしく、「第二の呼吸って何ですか」と聞いてきたので、
「口を開けっぱなしにして、気道と肺を通して、体の動きに合わせて、
自然に空気が肺に出入りする呼吸」と説明したら、
「それって、体をポンプみたいに使うってことですか」と。
あまりの理解の早さに驚きました。

トレーナーをしているほどですから、身体能力はかなりあって、
様々なドリルを難なくクリアしてしまうのですが、
彼は格闘技や武道としてのシステマよりも、身体技法や呼吸法に興味があって、
システマに参加にしてくれているのですね。

Hさんと話していて、自分はどういう人たちに向けてシステマ湘南をやっているのかと
改めて考えみました。

大きくわけて、システマをやっている人には二つあると思います。
1・格闘技や護身術、武道としてのシステマを目指している人
2・身体ワークとしてのシステマを楽しもうとしている人

そして、その両方ともに魅力を感じている人。
こうした人が一番多いかもしれませんね。

今シェアしているクオン師のシステマはどちからといえば、「1」です。
でも、「1」であっても「2」の要素はかなりあります。

例えば、今回練習した「ヘッドバット」などは、かなり実戦的だと思います。
昔、ある中国武術の先生と「ケンカで一番使えるのは頭突きだ」というので、
話が盛り上がったことがありました。

練習では顔を狙うのは危ないので、相手の胸に思いっきり頭突きするのですが、
普段は使わない体使いをしますし、首を鍛えていないと危ないので、
自分の首に無理がないか様子を観察しながら行うことになります。
「ヘッドバット」の練習をすることで、
普段気づかない体の使い方がを知ることが出来る。
私は、そうしたところにシステマの面白さを感じるんですね。

みなさんが武道やスポーツをやる理由はたくさんあると思うのです。
システマは試合がないから、試合に勝つとか、そういう目標は持ちにくいです。
級も段もないから、それで人から認められるということもありません。
強くなっているかどうかも客観的には判断しにくい。
たぶん、強くなるだけだったら、他の選択肢のほうが効率的かもしれません。

でも、システマは形もなくルールもないから、いろんな体の使い方のワークがあって、
その中で自分を知ることができる。肉体的にも精神的にも……。
システマの原点「know yourself」こそがシステマの魅力だと思っていて、
それを伝えたいと思って、システマ湘南をやっているのだと改めて感じました。

2017年2月5日日曜日

システマのワークと「気づき」

このところ、1月13日から15日かけて行われた
システマシアトル主催のクオン師のセミナーの復習を行っています。

約9年前に行われたクオン師のセミナーでは、
「フィジカル的にきつかった」ことが伝説にように言われています。
セミナー終了後、シアトルのインストラクターの蔵岡さんから「きつかったですか」と
「いや、それほどでも。耐えらないきつさではないです」と答えると、
「そうでしょう。いつも僕らがシアトルで行っているのも、こんなものです」という。

あまりきつく感じないのは、自分がシステマをやってきて「頑張らない」ことを
覚えたせいかもしれません。
システマのワークでいつも自分が思っているのは、
「無理しない、頑張りすぎない、でも甘やかさない」ということです。
自分の限界までやって、できなければできないと諦める。
できなくても落ち込まない。
これがシステマを続けるうえで、肉体的に精神的に健康にいいような気がしています。

ちょっときついかもしれないというワークをやっているわけですが、
先々週にこんなワークをやったんですね。

プッシュアップで10数えてゆっくり下がって10でゆっくり上がる、
終わったら、何をしてもいいから、それを一呼吸で回復する――。
回復したら、「もう1回」「もう1回」とリードに合わせて同じことを繰り返す。
クオン師のセミナーでも、10回ぐらいやったかもしれません。

何度も「もう一回」が繰り返させるなかで、
常連のOさんがクラスが終わった後で、
「プッシュアップがいつまでも続くのかと思いました」と語っていました。
ちょっとそこで思ったのは、その思いがテンションになってしまうのではないか。
生じた肉体的なテンションは呼吸でなくすとしても、
「いつまで……」という精神的なテンションはどうしたらいいのか。

今そのときに集中するしかないんじゃないかと思うんですね。
ゆっくりした動きの中のひとつひとつに意識に集中していくことで、先を考えない。
呼吸、血流、筋肉、骨……リラックスしているか、緊張がないか、意識を向けて、
プッシュアップを丁寧に丁寧にやっていくしかないのではないかと思った次第です。

そうやって丁寧にやっていくと、そこには「気づき」があって、
今流行りの「マインドフルネス」にかなり近いワークになるのではないかと
思った次第です。
細かく丁寧にワークしていなくても、普通にやっていてもシステマの場合は、
かなり体を細かく観察していきますから、それに近い効果がある気がします。

「マインドフルネス」の素は、仏教の瞑想法です。
ですから、かなり禅にも近いところがあります。
よく合気道や弓道などの武道が「動く禅」と言われますが、
システマもまた「動く禅」の要素の部分があると思うんですね。

「仕事で疲れていても、システマをやると元気になる」という感想をいただきますが、
システマが精神的にもリセットさせる効果があるからだと思っています。