2014年6月11日水曜日

「ゆっくり動くこと」は実戦的=ケンカ術!?

システマでは、ゆっくり動くことを推奨しています。
それはマスターの一人、コンスタンチン・ロマノフ師が言うように、
「ゆっくり動いて出来ないものが、はやく出来るわけがない」からです。

「ゆっくり動くこと」は練習として重要なだけではなく、
実戦的な側面からも効果があるようです。
そのことをケンカ術の立場から書いた本があったので、ご紹介します。
空手や護身術を指導している士心館館長の林悦道氏が書いた
『この「ケンカ術」がすごい! あっさりと勝つ法則10』(アスコム刊)です。

林氏は若い頃、土木関係の仕事についており、
荒くれ者たちと渡り合う日々でした。
そのとき、裏家業のステゴロ(ケンカ)師と言われた人の技術を、
流れ者の土工の老人から学んだといいます。

この本の第十章の〈極意2〉に「ゆっくりとした動き」とあります。
少し引用してみます。

〈実は、実戦においてこそ、ゆっくり動くことが大切なのです。実戦において
は普段から練習している動きしかでない。だからこそ、練習では速く動いては
いけなかったのです。
 実戦においての失敗の第一は(略)タイミングをとるのが早すぎる、いわゆ
るフライングをしてしまうことです。(略)
 焦りや緊張から出るタイミングを読み間違える。(略)
 これを避けるには、無駄な動きをしないこと。心と身体は一緒です。身体が
速く動いたり無駄な動きをしたりすれば、頭の中も無駄な考えが浮かぶ。これ
パニックと呼びます。
 パニックに陥ると、周囲の状況判断もできなくなってしまいます。(略)
 ドタバタと速く動きながら状況判断はできませんが、ゆっくり動きつつ冷静
に周囲をうかがうことができるようになって、初めて状況の変化にも対応でき
る判断力と決断力が発揮できるのです。〉(同書P202~203)

ゆっくり動けば緊張もしませんから、林氏はこう言います。

〈相手の動きを読む、とよく言われますが、これは相手の事前の身体の緊張を
感じとることにほかなりません。
 覚えておいていただきたいのは、戦いの最中とは、互いに極度の集中力をも
って相手の動きを情報分析している、ということです。そうすると、緊張は伝
播します。一方がほんのちょっとでも動いたら、一方はそれを察知しようとし
ます。結果として、一方が緊張すると、もう一方が緊張することになるのです。
 (略)
 しかし、武術では、しばしばそうした緊張反応の裏をかくのです。
 ケンカ術で「ゆっくり動け」というのは、実はこうした武術の奥義につなが
る教えでもあります。〉(同書P208~209)

緊張せずに、ゆっくり動くと、かえって相手は反応しずらいというのです。
ケンカの場で、実際にどうゆっくり動くのかは興味がある方は同書をお読みいただくとして、
ロシアの特殊部隊で採用されてきたシステマと、
ステゴロ師たちが伝えてきたケンカ術のいずれもが「ゆっくり」の重要性を語っています。
かなり実戦的な教えに違いありません。

ふだんの練習でもついつい速くなりがちなときこそ、
呼吸をして、ゆっくり動くことの重要性を思い出したいものです。

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