2019年8月15日木曜日

ザイコフスキー用語の捉え方

ザイコフスキーが作ったシステマ用語はいろいろとあります。
これらはトロント本部では使われていません。
たとえば、「コネクト」「ステイト」「インターナルフォーム」「フォーム」。

「インターナルフォーム」や「フォーム」は、ザイコフスキー以外に、
使っているモスクワのインストラクターを見たことがありません。

これらの言葉について詳しく聞いても、ザイコフスキーは教えてくれません。
「言葉にこだわるな。自分は本当は教えるのに言葉は使いたくない。
大人数を教えるために、仕方なく、言葉を使っているだけだ。
少人数であれば、言葉を使わないで教えられる」

でも――。
この1、2年はムーブメントという言葉も時々使います。
パワーではなくムーブメントを使え、とか。
普通に動いていると、それはパワーを使っていると言われる。
「動きではなく、ムーブメントって何なんだ?」と思いますよね。

モスクワのレギュラークラスに行くと、人数が少ないので、
ザイコフスキーに「何がムーブメントですか」と質問すると、
「かかってこい」と言われて、ボコボコにされて、
「これがムーブメント」だと言われます。

それで分かるほど、私の体は賢くないんですけど……。
言葉を使ってなくても、分かりづらいんですが……。

日本の武道の世界というと、江戸時代はともかく、
近代において、とにかく根性論や精神論が流行った。
練習の量だけをこなしていく。

それに対して、欧米では科学的なアプローチをしていく。
体に無理させることなく、最も効率よく鍛えていく。
現象を分析して、理論や理屈で教えていく。

一方で、モスクワの教え方というのは、日本の職人の世界っぽい。
とにかく、やってみて感覚で覚えていく。
ロシアというのは「感覚」の世界なんだな、と最近思います。

さて、ザイコフスキーの分かりづらい言葉をどう捉えていくのか。
最初はやっぱりイメージかと思っていました。

たとえば、フォームにしても「呼吸で体を満たす」と言われる。
呼吸って肺にしか入らないじゃないかと思って、
こういう時に「それはイメージなんですか」とザイコフスキーに聞くと、
かならず「イメージではない」という答えが返ってきます。
「それは実感なのだ」と。

だから、最近はもうこうした質問はしないのですが、
実感だと考えてしまうから、大げさに思ってしまうのですが、
いってみれば「感覚」(sence)なんですね。感じること。

イメージではなくて、感覚。

呼吸を満たすのも、感覚で捉える。

イメージだけだと思ってしまうと、その先には行かないし、行けない。
最初はイメージでもいいのだけど、感覚を追っていけば、
なんとなく、少しずつその感覚が分かってくるような気がします。

今さらながらの解説のような気もするのですが、
ザイコワークをやっていると、「それってイメージですか」と、
参加者から聞かれることも多いので、
自分なりの今の考え方を書いておこうと思いました。

人が本来持っているはずのもので、失っている感覚に、
ザイコフスキーは名前を与えているのかもしれません。

0 件のコメント:

コメントを投稿