「相手に共感しろ」
「暴力を振う人間にもそうせざえるをえない事情がある。それを感じ取れるようになれ」
それがザイコフスキーの言うところだが、
常人には共感できないほど深い闇を抱えた人間も世の中にいる。
だから、その次に以下のような質問をしてみました。
「だいたい突然襲われたら、共感できるも何もないと思う」
すると、ザイコフスキーはこう言います。
「以前、ミカエルもセミナーで、そのような質問を受けました。
ミカエルは言いました。unconscious(意識を失う、無意識)なるだけだ」
この場合、ミカエルほどの人物でさえ襲われて意識を失うのか、
無意識になって相手からの攻撃に反撃してしまうのか、よく意味が分かりません。
とりあえず、こう質問しました。
「ミカエルだったら、unconsciousですむかもしれないけれど、
自分だったら死んでしまう」
すると、ザイコはこう言います。
「あなたの肉体は死ぬかもしれないけれど、あなたという存在は死ななない。
あなたのやろうとしていたこと(相手を理解しようとしていたこと)は、
神は見ている。あなたのやろうとしたことを神は認めてくれる」
何か宗教的な話になってしまいましたが……。
しかし、ここで私が深く感じいったのは、
ミカエルが言ったという「unconscious」が
死という概念も含んでいるということでしょう。
私とザイコフスキーの会話は、傍からみると、かなり宗教的な、
いかにもロシア正教をバックボーンにしているシステマならではの会話のようにも
思えますが、その実、武術の奥義を表しているかもしれません。
もし相手を完全に感じ取り、それに応じていこうするのならば、
死を恐れていてはダメだということなのかもしれません。
システマでは恐怖を克服することも様々なワークで練習していきます。
人間にとって最大の恐怖とは死です。
相手を真に理解していこうということは、自らの死に向きあうことであり、
武術の真理はその先にあるのかもしれません。
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