うまく出来ず四苦八苦している私たちを見て、彼は、
「うまくいかないのは自分ができると信じていないせいです」
というようなコメントをしていました。
台湾でもインストラクターのアスランは、
ワークが上手くできない私に、
「Believe yourself」と言っていました。
先日、システマ仲間のSさんと飲みながら、
「でも、『自分を信じる』のと『自信』とでは違うんだよな」
という話になりました。
確かにニュアンスが何か違う。
何がどう違うのだろうか……と考えてみました。
例えば、あるワーク(エクササイズ)が上手くできない人がいて、
その人に向かって、「もっと自信を持って」と言った場合、
その人の過去の経験や努力、成果を知ったうえで、
「あれだけやってきたのだから、自信を持って」と
アドバイスしているような感じがあります。
それに対して、「もっと自分を信じてみて」と言った場合、
過去の経験や成果もさながら、それだけでは計り知れない
潜在的な能力、未知な部分にも働きかけているような感じがあります。
30代の頃に、中村天風先生という哲人の著作にはまって、
気に入った本は何度も読み直しました。
天風先生は積極的に生きるためのノウハウを提示してますが、
「観念要素更改法」という技法の中に、毎朝、鏡に写る自分の顔に向かって、
「おまえはもっと信念が強くなる!」と命令するというものがあります。
信念とは「思想や教条を固く信じること」ですから、
とりたてて思想もない私には、「信念が強くなる」という意味が
よく分かりませんでした。
天風先生は「分からなくても、唱えていれば分かるようになる」と
いずれかの著作の中でおっしゃっています。
今の私には、「もっと自分を信じるようになれ」という意味のように思えるのです。
システマに限らず、人生にとって必要なのは、
たぶん「自信」ではなくて、どんなことがあっても「自分を信じること」。
負けてしまった時やつらい時に「自信」を持つことはできないかもしれませんが、
いつだって「自分を信じること」は出来るはずだと思うのです。
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