12月21日から3日間、システマ東武開催の大西亮一セミナーに参加してきました。
大西亮一さんといえば日本人として初めてシステマのインストラクターになった人物。
システマ大阪の代表でありますが、今や日本を代表するシステマインストラクターです。
毎年イタリアやデンマーク、インドネシアなど海外でもセミナーを開いていて、
「世界のOONISHI」と言って過言ではないでしょう。
今回のセミナーでは、姿勢を糺すこと、テンションを移動させていくこと、
身体をエンプティにすることなど、システマ的にも多くのことを教わりましたが、
もっとシステマに関する概念的なことも非常に印象に残りました。
以下、自分の解釈で印象に残ったことを適当に書いてみると。
①力で対抗してほしくないということ。
力で対抗すると、相手が1の力だったら、2の力が必要になる。
相手が2を出したら、3の力が必要になる。
そういう力比べのゲームをしないのが、システマであるということ。
②テクニックで、どうのこうのしようとはしないこと。
相手が何かした時にテクニックで何かしようとしないこと。
そうすると相手と付き合ってしまう(だから相手と戦わない④)。
テンションを手先に移動して、自分がエンプティ(からっぽ)になるだけでいい。
そうすれば相手が勝手に動きだしてくれる。
→「事件は現場で起こっている」という言い方も印象に残っています。
相手に触れた場合、「何か」は触れた場所で起きているのであって、
身体は関係ない=エンプティであるということ。
③力は地面からではない。
日本や東洋の武道は地面から力をもらって、それを相手に伝えてようとするが、
システマではそうではない。
システマはロシア正教の考えがあるから、人間は天国(空)と地獄(地面)の間に、
立っているものだと認識する。
したがって、地面から力をもらうのではない。天と地の間で自由に動く。
④相手が向かってきた時に、それと戦おうとしない。ファイトしない。
ファイトしないでいれば、相手が戦う気持ちが起きなくなってしまう。
それを含めての(システマでよく言う)「破壊の否定」なのだと。
→言い方を変えれば「相手とのシチュエーションを変えればいいだけ」だとも。
①~④、そう言われても、システマを知らない人は「何だかな」と思うかもしれません。
綺麗ごとではないかと。言うは易し行うは難しと言いますが、
大西さんは実際にそれが出来るからすごいことです。
実際、何人かのMMAや柔術経験者が大西さんでグラウンドで挑みかかっていきましたが、
大西さんは彼らに抵抗することなく、リラックスしたまま、彼らを制しています。
フェイスブックに登録している方は、以下の動画を見てください。
https://www.facebook.com/akihiro.chiba.12/videos/1930644453701131/?t=5
①~④、これまでもいろんな形で言われて、分かっているのだけど、
もっとパワーをつけようとか、テクニックを勉強しようとか、
ついついパワーやテクニックに気を取られがちになってしまいます。
改めてその重要性を再認識させられました。
もちろん、パワーをつける、テクニックを身につける、地面から力をもらって出す、
相手と戦って制するという技術をもっている武術、格闘技は素晴らしいものです。
しかし、大西さんはこう言います。
「グランドではこの武術のこの寝技、パンチだったらこの武道、
関節技だったらこの武道のテクニックとやっていくと、
キメラ(異質同体の合成獣)になってしまう。
そうはなってほしくないのです」
昨年9月のモスクワのインターナショナルセミナーで「クローズドスクール」が
テーマでした。それを大西さんはこう説明します。
「クローズドスクール(Closed Schoool)というのは、
何か閉ざされた扉の向こうに素晴らしいものがある
ように思えてしまうけれど、そういうことを言っているのではない。
世の中には、素晴らしい武道や武術、格闘技、身体技法や施術、ワークショップが
いろいろとあるけれど、そういうものに自分から扉を閉ざして、
ミカエルのシステマだけを信じてついていくということなんです」と。
システマの場合、他の武術を並行してはダメというわけではありません。
実際、いろんな武術を並行してやっている人もいます。
ただ時として、大西さんの言うようにキメラになってしまう人もいて、
システマのワークの時に、自分がやってきた武術で対抗しようとしてしまう。
それはあまり良くないのではと思うのです。
あと「〇〇ではこうやっている」と他の武術の理合でシステマを説明する人もいます。
他と比較するのはいいけれど、他の武術の理合で理解しようとすると、
システマの理解が遠のくような気がします。
そうではなくて、他の武術をやっていても、
システマをシステマとして受け入れるのであれば、
私は若いうちは許されるのであれば、いろいろやったほうがいいと思う。
(武道によっては他の武術をやるのを許さないところもあるけれど)
若くなくても、人生は一回きりなのだから、後悔しないように年を取ってからも、
やりたければやったほうがいいと思います。
ただ、システマの練習をする時は、それらはきっぱりと一度忘れることが、
必要なのではないかと。
とりとめもなくなってしまいましたが、いろんな課題を与えてくださった
大西さんに感謝します。ありがとうございました。
大西セミナーを主催してくださったシステマ東武の皆様にも、
重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。
↑セミナーに参加したシステマ湘南の皆さんと
0 件のコメント:
コメントを投稿