「格闘技的に、システマをやる意義は?」と聞かれました。
以下は答えにならないかもしれませんが、思いついたことを書いてみます。
ネットで格闘技や武道について調べると、
必ず質問にあがるのは、「どの格闘技(武道)が実戦的なのか」とかというものです。
この場合の「実戦」は、ISのテロリストと戦うことを想定していないことは確実です。
格闘技の試合で使えるか、もしくは街の喧嘩で勝てるかということでしょう。
システマが格闘技の試合で使えるかといえば、
MMAの試合に出るのならば、やはりMMAをやっていないと駄目だろうだし、
BJJの試合に出るのならば、BJJの道場に通っておくべきだと思います。
ただ、システマをやっていることは役に立つと思います。
システマはサイバイバルの術ですから、
「最後の最後まであきらめない」という気持ちの強さは、
システマではかなり養われるような気がしています。
では喧嘩で勝てるかとなると……。
(10代ならばともかく、社会人で喧嘩に巻き込まれることはないと思うのですが)
以前、武道雑誌の編集者と喧嘩に強い人の条件を話し合っていた時に、
一致したのは「沸点が低い人(手が早い人)」ということです。
漫画や映画で見るような、肩と肩とがぶつかって「てめえなんだ」
「なんだ、この野郎」「やる気か」なんてやりとりは、
普通の人がやるもので、喧嘩に強い人は、
相手が「て……」と言いかけた時には、もうパンチが飛んできます。
普通の人が水温25度ぐらいぐらいで100度になるまで数分かかるところを、
瞬時に沸騰してしまい、と同時に手が出てくるのです。
考えてから喧嘩をやるような人は喧嘩に強い人は勝てないと思ったほうがいいです。
こう考えると、システマの「キープ・カーム(穏やかでいること)」でいたら、
まったく喧嘩に勝てないのではないかということになってしまいます。
でも、考えてみてください。「キープ・カーム」の人と「沸点の低い人」と、
どちらが戦場で生き残れるか。
感情的な人は、常に落ち着いて回りの状況(ステイト)を見極めようとする
「キープ・カーム」の人よりも生存率は低いのではないでしょうか。
私の考えでは、システマ的発想では、まずそのような喧嘩っ早い人には近づかないこと。
そういう人が近づいてきたら、まず距離を取ること。
「キープ・カーム」によって、まず相手から殴られるような状況、距離に身を置かない。
(システマでは自分の中の不快感に気付くことが大事で、常に快適なポジションを取る)
そうしたことがシステマでは学べるのではないかと思います。
しかし、それでも一触即発のような状態に置かれたら――?
(相手から手が届かない位置や距離にいることが大切ですが)
喧嘩の達人・林悦道氏の本を読むと、
喧嘩で勝つには落ち着いて(つまり、「キープ・カーム」ですよね)、
回りの環境を見定めて、見の周りの壁、机、机の上にあるもの、
全てをどのように利用できるか、逃げ道をどう確保するかを
考えておかなければならないとあります。
つまり、ここでも「キープ・カーム」が役立つと思うのです。
実際の喧嘩の仕方は林悦道氏の本を読むと勉強になりますが、
喧嘩に至るまでの距離、間合いの取り方、そして落ち着き方は、
システマで充分に学べるものだと思っています。
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